「在留資格」の決定と許可/外国人雇用を徹底解説!

こんにちは。行政書士・社会保険労務士事務所オフィスのぞみです。

ここまで、「在留資格」(主に活動資格)の種類と、その「在留資格」で認められる活動の内容を見てきました。
今日は、この「在留資格」がどのように決まるのか、説明します。

「在留資格」が決まる場面

外国人が、「在留資格」を有することとなる場面として、入管法は
・一般上陸許可
・在留資格変更の許可、永住の許可、在留資格の取得の許可
・退去強制手続における在留特別許可
・難民認定手続における在留資格の取得許可
・難民認定手続きにおける在留特別許可
を定めています。

本コラムは、「外国人雇用」について解説する目的ですので、就労在留資格と関係の強い
一般上陸許可:外国人がはじめて来日する場面を想定
在留資格変更許可:すでに日本にいる外国人を想定
について、以下に解説をします。

「一般上陸許可」

入管法6条1項は、「本邦に上陸しようとする外国人は、有効な旅券(パスポート)で日本国領事館等の査証を受けたものを所持しなければならない」と定めています。

(1)有効な旅券
旅券とは、本文中に書いた通り、パスポートのことです。

(2)有効な査証
査証とは、日本国領事館等(外国に駐在する日本国の対し、公使または領事館)の発行するいわゆるビザ(VISA)のことです。査証(ビザ)は、
・日本に上陸しようとする外国人が所持する旅券(パスポート)が真正で、有効なものであること
・外国人の入国・在留が適当であること
を推薦するためのものです。
シール式で、外国人本人のパスポートに貼ってあります。

(3)上陸許可の事前審査としての在留資格認定証明書制度

では、この査証(VISA)は、どのように手に入れるのか、ということですが、結論からいうと、地方出入国在留管理局から「在留資格認定証明書」を取得し、これを日本国領事館に提出して、査証申請をする、という流れになります(短期滞在を除く)。

この「在留資格認定証明書」は、外国人本人または、外国人を受け入れようとする機関の職員が代理人となって、地方出入国在留管理局に対して申請をします。そして、この申請が認められると(つまり、その外国人が、その機関で働いてもいいよ、と入管に認められれば)、「在留資格認定証明書」が交付されます。

外国人は、交付された「在留資格認定証明書」をもって、滞在地(原則として母国)の日本国領事館に行き、査証申請をすることによって、査証を得ることができます。

本来、上陸許可の際に行われる「在留資格」の決定は、上陸許可の申請の際に行われるものですが、これをすると審査が長時間に及び、円滑な入国管理にそぐわないことから、「在留資格認定証明書」という事前審査を経て、「査証(ビザ)」を取得し、「査証(ビザ)」を持っている外国人は、原則として「在留資格」に該当する活動を行うという判断をして、上陸を許可するという処理をしています(上陸拒否事由に該当する場合を除く)。

(4)査証の有効期間

査証の有効期間は、発給の翌日から起算して3カ月間とされています。
また、(数次査証をのぞき)原則として、1回の上陸に限り有効です。
したがって、3カ月の有効期間内でも、いちど上陸のための審査を受けた(上陸許可を受けるために一度使った)査証は「有効である」とは言えず、利用することができません。

「在留資格の変更許可」

(1)在留資格の変更許可とは

日本に適法に在留する外国人は、
・何らかの「在留資格」を有しており
・その「在留資格」で認められた活動を継続して行っていること
は、すでにご理解いただいていると思います。

しかし、日本国内で行う活動の内容を、何らかの事情により変更することを希望する場合があります。

新しく行おうとする活動が、現に有している「在留資格」に該当する活動であれば、問題ありませんが、新たに行おうとする活動が、現に有している「在留資格」に該当する活動に属さない場合には、新たに行おうとする活動に適した「在留資格」を取得することが必要です。

このように、なんらかの「在留資格」をすでに有している外国人が、あらたに別の「在留資格」を受ける許可を「在留資格の変更許可」と言います。

典型的な例は、「留学」生が就職して、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって就労する場合です。

(2)在留資格変更許可の要件

入管法20条3項は「在留資格の変更の申請があった場合、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる」と定めています。

「在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由」について、「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」が定められており、「相当な理由があるか否かの判断は、もっぱら法務大臣の自由な裁量にゆだねられ、申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性を総合的に勘案して行う」とし、この判断を行うにあたって考慮する事項として、以下の8項目をかかげています。これらの内容詳細については、また別途、記事を書く予定です(たぶん)。

  • 在留資格に該当する活動であること
  • 上陸許可基準に適合していること
  • 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
  • 素行が不良でないこと
  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  • 雇用・労働条件が適正であること
  • 納税義務を履行していること
  • 入管法に定める届出等の義務を履行していること

(3)特例期間

在留資格の変更許可の申請を行った外国人は、申請前に有していた許可期間の満了後も、申請に対する処分がされるとき又は、満了の日から2月を経過する日が終了するときのいずれか早い時までの間、引き続き従前に有していた在留資格をもって在留することができる、とされています。これを、通常「特例期間」と呼んでいます。

たとえば、
留学の在留期限:5月31日
の方が、この期限より前に在留資格変更許可申請を行ったとします。本来は、5月31日を過ぎると日本に滞在することができませんが、この方が「在留資格変更許可」の申請を、在留期限前に行っている場合、「処分がされるとき(申請の結果がわかるとき)」または、「満了の日(5月31日)から2月を経過する日が終了するとき(7月30日)」のいずれか早い時までの間、引き続き従来有していた在留資格(留学)をもって、在留することができます。

(4)在留資格の変更の許可

中長期在留者だった者が、その後も引き続き、中長期在留者としての「在留資格」を決定されたときは、新たな在留資格による在留カードが交付されます。

まとめ

今回の記事でお伝えしたかったのは、外国人の方の現在の状況に応じて

上陸許可→在留資格認定証明書交付申請と査証申請

在留資格の変更→在留資格変更許可申請

という手続きをそれぞれ行い、そこで「在留資格」が決定されるということでした。

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