こんにちは。行政書士・社会保険労務士事務所オフィスのぞみです。
前回の記事では、就労を前提とした在留資格について書きました。
ちょっとひくほど、たくさんありましたね。
そして、「在留資格」ごとに定められた「活動内容」以外の仕事はできないこともご理解いただけましたでしょうか。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の外国人の方が、「技能」の活動はできない、というあの話です。
今日は、就労を前提とした在留資格から少し離れて、「就労できない在留資格」について触れたいと思います。
「就労できない在留資格」
まず、「就労できない在留資格」を以下に記載します。
特に、「留学」や「家族滞在」は、イメージがしやすいと思いますので、見てみてください。
- 文化活動(例:日本文化の研究者等)
- 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(留学,研修の項に掲げる活動を除く。)
- 在留期間:3年、1年、6月または3月
- 短期滞在(例:観光客、会議参加者等)
- 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポーツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動
- 在留期間:90日もしくは30日又は15日以内の日を単位とする期間
- 留学(例:大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒)
- 本邦の大学,高等専門学校,高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部,中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部,小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部,専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動
- 在留期間:法務大臣が個々に指定する期間(4年3月を超えない範囲)
- 研修
- 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(技能実習1号,留学の項に掲げる活動を除く。)
- 在留期間:1年、6月または3月
- 家族滞在(在留外国人が扶養する配偶者・子)
- 教授,芸術,宗教,報道,二の表の高度専門職,経営・管理,法律・会計業務,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,文化活動又は留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
- 在留期間:法務大臣が個々に指定する期間(5年を超えない範囲)
本当に働けないの?
では、「留学」や「家族滞在」の在留資格で日本に滞在している外国人の方は、本当に働くことができないのでしょうか?
実は、そんなことはありません。
この記事を読んでくださっている皆さんの身近でも、コンビニやファミレスで多くの外国人の方がアルバイトをしているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか?
彼らの中には、「留学」や「家族滞在」の在留資格で、日本に滞在している方がいます。
でも、振り返ってみると、「留学」も「家族滞在」も働くことができない在留資格です。
在留カードにも「就労不可」と書いてあります。
そんな彼らがアルバイトができる理由が「資格外活動許可」です。
「資格外活動許可」とは何か
「在留資格」は特定の活動(学業、家族との同居など)のために許可されているため、その範囲外の活動を行うことは原則として禁止されています。これにより、日本の労働市場を守り、外国人が適正な範囲内で活動することを確保しています。
資格外活動許可は、この規制を守りながら、外国人が柔軟に日本での生活を維持できるよう支援する制度です。
留学生が学業の合間にアルバイトをしたい場合や、家族滞在の外国人が家計を補助するためにパートタイムで働きたい場合には、その在留資格だけでは許可されていないため、資格外活動許可を取得する必要があります。
「資格外活動許可」の申請方法
資格外活動許可を取得するためには、
・資格外活動許可申請書
に必要事項を記載して、入管に提出します。
一般的には、上陸許可申請時、あるいは在留期間更新許可申請時に、同時に申請をすることが多い手続です。
必要書類は、
・パスポート
・在留カード
・在籍している学校の成績証明書や出席状況証明書(留学生の場合)
・アルバイト先の雇用契約書
・給与明細や出勤簿
が求められます。
資格外活動許可を得ると、
①在留カードの裏面に、「資格外活動許可」というスタンプが押捺され
②パスポートにその旨の証票(シール)が貼付されます
留学生や家族滞在の方をアルバイトとして採用することを希望されている方は、
①在留カード裏面
②パスポートの証票
の両方を確認して、働いてくれる外国人の方が資格外活動許可を得ているか、確実にご確認をお願いいたします。
なお、パスポートの証票については、在留期間更新許可申請をオンライン申請で行う場合には、パスポートが証票に貼付されず、紙の許可証が発行される場合があります。
資格外活動許可の制限
資格外活動許可にはいくつかの制限があります。
①働ける時間の制限
「資格外活動許可」は、1週間に28時間までの労働を許可する制度です。
ですから、1週について28時間を超えて働くことはできません。
この時間を超えて働くことは、日本の労働環境のバランスを崩し、また外国人本人が、本来行うべき活動を妨げると考えていることがその理由です。
ただし、留学生の場合は、学校が休みの間(長期休暇)は1日8時間まで働くことができます。家族滞在の方には、このような特例はありません。
②職種の制限
風俗営業に関連する仕事(ナイトクラブ、バー、パチンコ店など)では働くことが禁止されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
前回の記事と今回の記事で、お伝えしたかったのは、
①働くことを前提としている在留資格では、その在留資格で定められた活動のみを行うことができる
②働くことができない在留資格でも、資格外活動許可を得て、アルバイトをすることができる場合がある
③資格外活動許可に基づくアルバイトは、時間や職種の制限がある
ということです。
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