外国人を採用した場合に行わなければならない届出/外国人雇用を徹底解説!

こんにちは。行政書士・社会保険労務士事務所 オフィスのぞみです。

ここまで、
日本に滞在する外国人は、「在留資格」に該当する活動を行う必要があること
会社は、外国人が持っている「在留資格」に一致する雇用をする必要があること
「在留資格」には、就労を前提とする在留資格と、就労を前提としない在留資格(資格外活動許可によって働くことができる在留資格)があること
就労を前提とする在留資格を有する外国人材を採用する場合の具体的な手続き
を述べました。

今日は、外国人が日本企業で働き始めた場合(採用した場合)、採用した企業や、外国人本人は、どのような届出をする必要があるのか、確認していきます。

外国人雇用状況の届出

 労働政策総合推進法により、外国人を雇用する事業主(会社)には、外国人労働者の雇い入れ(採用)及び離職(退職)の際に、その氏名・在留資格などを、ハローワークへ届け出ることが義務付けられています。

 ハローワークでは、その届出に基づき、雇用環境の改善に向けて、会社への助言や指導、退職した外国人への再就職支援を行うとされています。

(1)届出の対象となる外国人の範囲
日本の国籍を有しない方で、在留資格「外交」「公用」以外の方が届出の対象です。
ですから、「留学」「家族滞在」など、就労を前提としない在留資格(資格外活動許可によってアルバイトをする場合)でも、届出が必要です。
なお、特別永住者の方は本届出の対象ではありません。
また、通常の注意力をもってすれば外国人であると判断できる場合に本届出を行えば足り、たとえば、氏名や言葉の流暢さによってその方が外国人であると判断できなかった場合には、確認・届出を行わなくても、本届出義務違反に問われることはありません。

(2)届出の方法
届出の方法は、
・雇用保険の被保険者となるか(週20時間以上の契約)
・雇用保険に被保険者とならなか(週20時間未満の契約、または学生)
によって異なります。

雇用保険の被保険者となる外国人
雇用保険の被保険者となる外国人に関する届出は、雇用保険被保険者資格取得届または雇用保険被保険者資格喪失届により行います。この雇用保険法上の届出を履行すれば、それ以外に別途外国人雇用状況届出書を提出する必要はありません。

雇用保険被保険者とならない外国人
雇用保険の被保険者とならない外国人の採用・退職に際しては、「外国人雇用状況届出書(様式3号)」により届出を行います。派遣労働者として外国人を採用した場合、届出義務は、派遣元事業主にあり、派遣先事業主には届出義務はありません。請負も同様です。

なお、この届出は、電子申請により行うことができます。

(3)届出の添付資料
外国人今日状況届出制度では、事業主の方が、外国人の氏名等を確認して届け出るものとされています。届出の正確性を担保する責任は、一義的には事業主に求められており、旅券(パスポート)や在留カード、資格外活動許可証の提出は求められていません。
事業主の責任において、ただしく情報の確認をしていただき、届出をしていただく必要があります。

所属機関に関する届出

(1)事業主による届出
以下の在留資格を持つ中長期在留者の受入れを開始(採用・役員就任等)または終了(退職等)した場合には、事業主は、その事由が生じた日から14日以内に、入管に届出を行う必要があるとされています。
ただし、上記1に記載の外国人雇用状況届出が義務付けられている機関は、外国人雇用状況届出を提出すれば、入管に対して、所属機関による届出を提出する必要はありません。

対象となる在留資格
・教授
・高度専門職
・経営・管理
・法律・会計業務
・医療
・研究
・教育
・技術・人文知識・国際業務
・企業内転勤
・介護
・興行
・技能
・研修

なお、届出はインターネットまたは郵送・地方入管窓口への提出により行います。
また、本来、事由が生じた日から14日以内に届出をする必要がありますが、届出を失念して14日を過ぎてしまったとしても、遅れても必ず届出をする必要があります。

(2)外国人本人による届出
外国人本人による届出は、その外国人の方が有している在留資格により、その内容が異なります。この記事では、以下の在留資格を有する方が行う届出について記載します。
・高度専門職1号イ
・高度専門職1号ロ
・高度専門職2号
・研究
・技術・人文知識・国際業務
・介護
・興行
・技能
・特定技能


どのような場合に届出をする必要があるかというと、
・契約した企業が消滅した場合や、名称・所在地が変更した場合
・企業との契約が終了した場合
・あらたな企業と契約をした場合
・契約が終了して、あらたな企業と契約をした場合

です。
届出方法は、インターネットまたは郵送・地方入管窓口への提出により行います。

事業主による届出と同様、事由が生じた日から14日以内に届出をする必要がありますが、届出を失念して14日を過ぎてしまったとしても、遅れても必ず届出をしてください。

この所属機関に関する届出を行わなかったり、虚偽の届出をしたりすると、罰則が適用されます。また、次の在留申請(在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請)で不利な審査材料として扱われます。所属機関(会社)の皆様におかれましては、外国人を採用することとなった場合、受入れている外国人が退職することとなった場合には、必ず本届出を行うよう、外国人本人に指導をしてください。

少し前のことですが、経験上、5年の在留期間をもらえると想像していた在留期間更新許可申請で、在留期間1年の許可が決定されたことがありました。教えてくれるとは限りませんが、ものは試しに、と入管の窓口できいてみたところ、「契約期間に関する届出を提出していますか?」と質問されたことがありました(もちろん、それが理由とは明言してくれませんし、教えてくださっただけでも奇跡だと思っています)。

ですが、実際、申請人の方に確認したところ、契約期間に関する届出を提出していないことが分かりました。以後、弊所では、ご相談をいただいた際に転職の履歴があれば、必ず「転職したことは入管に届け出ていますか」とお聞きして、届出をしていない場合には、申請前に届出を出していただくようにお願いをしています。

届出についてのよくある質問

本届出よくある質問について、以下にまとめましたので、ご参照ください。
▶転職と同時に、在留期間更新許可を受けた場合→届出が必要
▶転職と同時に、在留資格変更許可を受けた場合→届出が不要
▶転職した際に、在留期限がまだ残っている場合→届出が必要
▶新規の上陸許可を受けて、予定どおりの契約期間で就労を開始した場合→届出が不要
▶在留資格に該当する範囲で、別の会社で新たにダブルワークをすることとなった場合→届出が必要
▶他の機関に出向することとなった場合→届出が必要
▶派遣元が同一のまま、派遣先が変更になった場合→届出が不要

就労資格証明書

就労資格証明書とは、その外国人が行うことができる仕事の内容(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動)を法務大臣が証明する文書です。

外国人を雇用等しようとする会社は、その外国人が日本で就労する資格があるか否かについてあらかじめ確認する必要があることは、繰り返し説明してきました。
また、外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには、自分が就労できる在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。

外国人が我が国で合法的に就労できるか否かは,旅券に貼付(又は押印された)上陸許可証印、中長期在留者については在留カード、資格外活動の許可を受けていることを確認することによっても判断することができます。

でも、「在留資格」とその在留資格によって行うことのできる活動は、ある程度一般化して(抽象的に)しか説明されていないので、個々の外国人が持っている「在留資格」によって、個々の会社で具体的に従事してもらう活動が認められるのかは、判断が難しい場合もあります。

そのような場面で、雇用主等と外国人の双方の利便を図るため、外国人が希望する場合には,その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとして、会社が雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか確認できるようにしました。

ただし、これらは、「外国人本人の希望により」行うものですので、転職した外国人を受け入れる場合に、必ず行わなければならない手続きではありません。また、なお,この就労資格証明書を提示しないことにより,雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない旨が入管法第19条の2第2項に規定されています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、外国人を新たに採用した場合、外国人が退職した場合に、会社が行う手続きと外国人が行う手続きについて解説しました。

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