こんにちは。行政書士・社会保険労務士事務所オフィスのぞみです。
ここからは、いわゆる「就労系」在留資格について、個別に解説をしたいと思っています。
その前提として、今日は、どのような在留資格で、どのくらいの人数の外国人が、日本に滞在しているのか、確認したいと思います。
法務省から公表されている最新の数値(令和6年3月22日)「令和5年末現在における在留外国人数について」に基づいて、見ていきます。
概要
令和5年末の在留外国人数は、3,410,922人(前年比、10.9%増)で、過去最高を更新しました。なお、内訳は、中長期在留者が3,129,774人、特別永住者が281,218人で、その合計が3,410,922人となっています。
性別では、男性が1,713,977人、女性が1,697,001人、その他が14人となっています。
なお、日本で交付される在留カードの性別は、国籍国のパスポートの性別と一致するものとされています。弊所では、在留カードの性別が空欄という方にお会いしたことがありますが、国籍国のパスポートに記載の性別は「X」と記載されていました。
現在、日本の在留諸申請では、性別は「男(M)・女(F)」のいずれかしかなく、国籍国のパスポートが「X」の場合、在留カードの性別は空欄になることとなります。日本の国際化とともに、多様な価値観の受入れが必要となる中、今後どのような経過をたどるか、注視したいと思っています。
国籍別の内訳
在留カード及び特別永住者証に表記された国籍・地域の数は、195でした。
- 1 中国 821,838人
- 2 ベトナム 575,026人
- 3 韓国 410,156人
- 4 フィリピン 322,046人
- 5 ブラジル 211,840人
- 6 ネパール 176,336人
- 7 インドネシア 149,101人
- 8 ミャンマー 86,546人
- 9 台湾 64,463人
- 10米国 63,408人
在留資格別の内訳
1 永住者 891,569人
2 技能実習 404,556人
3 技術・人文知識・国際業務 362,346人
4 留学 340,883人
5 特別永住者 281,218人
都道府県別の内訳
1 東京都 663,362人
2 愛知県 310,845人
3 大阪府 301,490人
4 神奈川県 267,523人
5 埼玉県 234,698人
在留資格ごとの地域性の確認
1 「技能実習」の在留資格をもって在留する外国人の総数は、404,556人で、①愛知県37,384人、②埼玉県22,592人、③千葉県20,842人、④大阪府20,555人でした。
北海道も上位に食い込んでいるかと思いましたが、47都道府県中12番目(14,157人)でした。
なお、最も少ないのは、秋田県の1,699人でした。
2 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留する外国人の総数は、362,346人で、その地域別の内訳は、①東京都105,535人、②神奈川県34,764人、③大阪府32,069人、④埼玉県29,148人、⑤千葉県26,874人、となっています。
なお、最も少ないのは、高知県の181人でした。
3 「特定技能」の在留資格をもって在留する外国人の総数は、208,462人で、その地域別の内訳は、①愛知県17,638人、②大阪府13,278人、③埼玉県12,405人、④千葉県12,302人でした。
技能実習と比較すると、最も多いのが愛知県であること、最も少ない地域が秋田県であることは共通で、一方で、愛知県を除けば、順位が異なるのが興味深いですね。
4 「留学」の在留資格をもって在留する外国人の総数は、340,833人で、 その地域別の内訳は、①東京都112,916人、②大阪府37,318人、③福岡県19,921人、④京都府17,701人、⑤神奈川県16,473人、⑥埼玉県16,455人でした。
東京都が全体の約3割を占めているのは、想像通りですが、3番目に福岡、4番に京都がランクインしているのが、他の在留資格とは異なる顔ぶれとなり、興味深く感じました。
なお、最も少ないのは、山形県の324人でした。
5 「永住者」の在留資格をもって在留する外国人の総数は、891,569人で、その地域別の内訳は、①東京都179,806人、②愛知県98,933人、③神奈川県92,425人でした。
なお、最も少ないのは、高知県の1,008人でした。
ちょっと脱線~高知県がベトナムの日本語学校設立を支援~
在留外国人の(総)人数が少ない地域を見てみると、①秋田県5,290人、②鳥取県5,604人、③高知県6,129人、となっています。
高知県については、永住者、技術・人文知識・国際業務、家族滞在、定住者、などの在留資格で、全国でもっとも在留外国人数が少ない県となっています。
先日、高知県が支援する企業が、今年(2024年)秋に、ベトナム南部に日本語学校を開校するという報道がありました(高知ニュースWEB7月22日)。
この報道によると、高知県は、ベトナムランドン省との間で昨(2023)年に外国人材の確保を進めるための人材交流に関する覚書を締結しており、来日を希望するベトナム人材は、卒業後3年間は高知県で就労することを条件に、この日本語学校で学ぶことができ、県は、日本語講師の配置に係る費用を補助するとされています。
特定技能制度では、労働者の意思による転籍が認められており、育成就労法でも一定の条件のもとに転籍が認められる見込みです。地方部では、賃金の多寡や、生活環境の不便さを理由として、都市部への人材の流出が課題となっています。
この日本語学校では、日本語のほかに土佐弁や高知県の文化なども学習科目に取り入れることとしており、「来日する前に、高知県の文化やことばを学んでもらうことで、県に対する理解や愛着を深め、長く定着してもらいたい」とコメントしています。
外国人労働者数の内訳
※ここからは、別の資料に基づく統計になります。
出入国在留管理庁では、日本で就労する外国人労働者数の内訳を公表しています。これによると、令和5年末現在の外国人労働者数は、全体で204万8675人と推計されています。
これを、在留資格別にひもとくと、
- ①身分に基づき在留する者 約61.6万人(約30%)
- ②就労目的での在留資格を有する者 約59.6万人(約29%)
- ③技能実習 約41.3万人(約20%)
- ④資格外活動(留学生・家族滞在等) 約35.3万人(約17%)
- ⑤特定活動(EPA・ワーホリなど) 約7.2万人(約4%)
となっています。
資格外活動許可の基づく就労が約35万人、就労人口全体の約17%にのぼっており、重要な働き手となっていることが分かります。
また、技能実習(1号イ・ロ、2号イ・ロ、3号イ・ロすべてを含む)については、先般、発展的に制度を解消し、2027年までに新しい在留資格「育成就労」に移行するための改正法が可決・成立しました。この点については、後日あらためて確認したいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
このコラムをご覧くださっている方が、どのような立場の方なのかによって、感想もさまざまなのではないかと思います。ご自分の身の回りの環境に照らして、「実体どおりだ」と感じられた方も、「自分のいる地域とは一致しない」と感じられた方もいらっしゃると思います。
ですが、外国人材が私たちの生活に密着していることは、立場を問わず変わらない事実だと思います。
令和6年7月12日に出入国在留管理庁から公表された以下の資料によると、平成20年の統計開始以来、我が国における外国人労働者の数は、一貫して増加を続けています。
たしかに、新型コロナウィルス感染症の影響を受けていた時期は、在留外国人の数(棒グラフ)は減少した時期もあり、また、それにより、総人口に占める在留外国人の割合(折線グラフの青色)も減少した時期がありました。
しかし、その間においてもなお、外国人労働者の数(折線グラフの赤色)は増加していたことが分かります。
外国人材が、我が国の産業構造で果たす役割は大きく、今後も、外国人材を適切に雇い入れ、能力にみあった活躍をしていただくことが大切だと考えています。
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